我が子の色の見え方

我が子の色弱

前回の記事で色弱のことを書きましたが、今回は息子の色弱についての詳細です。

私が息子の色弱を確信したのは、小学校高学年頃だったかと思います。

息子が当時自分が着ているパジャマを「茶色」と言った時です。

 

その時息子が着ていたパジャマは、カーキーの迷彩柄。

カーキーという言葉を当時の息子は恐らく知らないので、もし息子が「緑のパジャマ」と表現していたならば、気をとめなかったかもしれません。

しかし「茶色のパジャマ」という表現には違和感を覚えました。

改めて

「そのパジャマは何色に見えるか」、

と質問してみました。

 

息子の返答は躊躇することなく、

「茶色」

 

「濃い緑色には見えない?」

と聞いてみると

 

「?」と不思議顔。

 

どう見ても茶色にしか見えないと言うのです。

 

慌てて色々な物を見せ、何色に見えるかと色覚チェック。

 

すると、ほとんどは色別できるようです。

緑色も緑と答えます。

 

しかし再度パジャマを見せるとやっぱり「茶色」・・・。

 

この時初めて、この子は色弱遺伝子を受け継いだのだ、と気が付きました。

 

簡単な色覚検査表を見せて確認してみると、やはり結果は全て、色覚特性の見え方でした。

   <画像:石原式検査表>

 

細かい色の見分けは苦手

私の父は色弱です。

なので息子の色弱はあり得るだろうだなとは心の片隅で思ってはいました。

だとしても大したことではない。

そう思いつつも実際に我が子が色弱とわかった時、なぜかドキッとしました。

 

息子はそれまでずっと、違和感なく全ての色を言えていました。

私の中にあるかもしれない色弱遺伝子は、遺伝しなかったんだと思っていました。

実際息子は12色の色鉛筆も、クレヨンも、全て識別できます。

 

しかし、60色鉛筆の色鉛筆は、色の違いがよくわからないと言います。

その色自体が何色かは分かるけど、微妙に少しづつ違う同系色同士の違いは見分けられないようです。

 

今思えば60色の色鉛筆を使う時、いちいち何色か確認してくることがあったような・・・。

しかし、それはあまりに色がたくさんあってどれを使おうか迷っているのだ、と思っていました。

緑は認識できるが、緑系色数本を同時に並べると、違いがよくわからい・・・

自分だけ違ったクレヨンの色

本人は自分が色弱だとの自覚は、今でもあまりありません。

学校生活においても、指摘されたことは今まで一度もありません。

美術の授業も問題なく受けています。

 

ただ色々確認していくと、過去に1度だけ違和感を感じた記憶があると言いました。

 

それは幼稚園でみんなでお絵描きををした時のこと。

消防署に見学に行った後、「消防車を思い出して書いてみよう」となり、画用紙に消防自動車を書いたとのこと。

その時、気付けば自分だけ消防者を茶色のクレヨンで塗っていたそうです。

「自分だけ消防自動車の色が違ったことに、びっくりしたのを覚えている。」

とのことでした。

 

しかし、その記憶を検証すると

・消防車の色は赤と認識はしていた

・みんなと違うことに自分で気が付いた

ということになります。

そう考えると、

・見学に行った時、たまたま消防車が茶色に見えた

お絵描きの時たまたま茶色のクレヨンが赤に見えたと

いうことになります。

 

色の見え方は色弱でなくても光の加減や状況で多少違って見えます。

特に息子の場合、その時の明るさや状況により、だいぶ違ってみえるようです。

 

色弱タイプは異常3色型色覚と思われます。

このタイプは色の全てはわかるものの、組み合わせによっては判断がしにくくなります。

暗めの緑色は1本ずつなら何色か分かるが、2本並べると同じに見える

色弱は案外普通にいる

先日大学生の娘が着ていたダウンジャケット、色は茶色です。

このダウンを同じ学部の男子学生が、ピンクにしか見えないと言ったそう。

 

周りに「ピンクはあり得ない」と言われた彼は

「自分、色弱??」と慌てていたそうです。

茶色は色弱の人にとって、特に混同しやすい色の1つ。

しかし、色弱の見え方としては茶色がピンクに見えるパターンはあまりないような・・・。

(たまたまその時ピンクに見えたとか?)

 

ただピンクには淡い桜色のようなピンクからショッキングピンクのような派手なピンクまで色々あります。

その彼が言うピンクがどんなピンクかわかりませんが、光の加減など環境により、見え方は変わります。

実際のところ彼が何色に見えていたかは、本人にしか分からないのかも。

 

色弱の割合は日本人男性の20人に1人

その場には他にも男子学生が数人いたようです。

「自分は色弱かも」と感じたことがある男子学生、結構いるようです。

 

色弱は日本人男性の20人に1人の割合と言われています。

20人に1人ということはクラスの男子に1人か2人はいることになります。

そう思うと色弱は特別ではなく身近に何人かいて当たり前なのです。

 

学校での色弱検査は希望者のみ

色弱の検査は2003年までは、小学校で実施されていました。

しかし、差別に繋がるということで廃止され、現在は希望者のみです。

 

そのため程度が軽い場合は気が付かないまま大人になることが多いようです。

 

我が家もパジャマの件がなければ、そのままずっと気が付かなかったかも。

そう思うと早めに気が付いて良かったのかな、と思っています。

 

色弱の職業制限

色弱であることを気付かないままでも、特に問題ありません。

ただ、知らないまま成長してしまうと、就職の際に適正検査や要項確認で初めて自分が色弱だと気が付く、という問題が出る可能性があります。

 

目指していた職業に自分に不適切だという事実に、夢に手が届く目前に直面してしまうのです。

結果あきらめざるをえなかった、という悲しい事例が実際に発生しています。

 

ひと昔前まで日本では、色弱に関しては差別があり、職業への制限もありました。

しかし現在色は、色覚に対する公的職業制限はごく1部です。

特別な職業を省き殆どありません。

 

職業制限は異常3色覚2色覚など型による違いや、程度の差によっても違ってきます。

また、努力次第で可能な職業も。

 

息子のように日常生活にほとんど影響のない異常3色覚の場合は、職業制限はほぼ気にしなくて良いのかもしれません。

それでも困難を感じる職種が、全くないわけではありません。

なので目指す職業に、色覚異常が少しでも影響する可能性が考えられる場合は、しっかりと仕事内容、適格性、もし就いた場合どんな困難が生じるか、など把握しておくべきだと思います。

 

自分の見える世界を大切に

息子には色弱について説明してあります。

色弱だからと言って特に問題ないこと、マイナスイメージを持たないように説明しつつも

もしかしたら将来、職業選択の幅が少しだけ狭まる可能性はある

と伝えました。

 

色弱は障害ではなく個性だと思います。

「その色が緑だ」と言う常識は、人間界の多数派の常識であるだけのこと。

 

しかしこの世界ではどうしても「多数派の意見が常識だ」とされがちです。

 

自分の見えている真実を大切にしながら生きていくためにも、

「人と自分の世界の見え方はどうやら少し違うらしい」

という事実を知っておくべきだ・・・。

 

我が子の色の見え方についてそう感じています。

 

色弱に関しては近年「色を補正するレンズ」や、「色を補正するアプリ」も開発され、研究が進められています。

私自身も、今後更に色弱ついて勉強や理解を深め、正しい知識を我が子に伝えていきたいと思っています。

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